上記のような声が多く聞こえてきた時は、実施計画への着手をおすすめします。
STEP01 建物調査診断
・どこが、どのように悪いのか?
→劣化が進行している部位を調査し、劣化度を判定
建物の特性などにより、劣化の進行にも差異が生じます。目視や打診、微破壊検査などで劣化度を部位別に判定し、建物の現況を把握します。
STEP02 修繕設計
・悪い箇所をどのように補修するのか?
→劣化度に応じ、補修方法を策定
→補修部位の優先順位を、管理組合と協議
工事の範囲を決め、どのように補修(または改修)するかを決める作業です。
調査診断などを参考に、工事を行う部位の優先順位を考慮しながら範囲を定めます。
また、修繕とは別に、改修を希望する部位があれば、どこをどのように改修するのか、それが可能なのか(各法規制、技術面など)を検討する必要があります。
STEP03 施行者選定
・どの会社に工事を発注するか?
→「安かろう、悪かろう」は避ける
大規模修繕工事の可否を決めると言っていい、重要な作業です。
一般には5つの作業に分かれます。
1、施工者募集 :公募や居住者推薦を行います。
2、見積依頼 :応募業者の中から、見積依頼をする会社を選定します。
3、見積比較 :提出された見積を比較検討します。
4、ヒアリング :最終候補社に対し、ヒアリングを行います。
5、施工者選定 :施工者を選定します。
見積依頼の際の現場説明は質疑応答、見積比較などの専門的な作業は、コンサルティング会社(設計事務所など)が行います。
STEP04 大規模修繕工事
・工事が適切に行われているか?
→工事監理の委託も検討
STEP05 工事完了
・工事内容の保証は?
→施工者によるアフターサービス点検を実施
修繕積立金の残高によっては、予算内で行える工事は限られてしまいます。
改修の是非も含め、工事の優先順位をあらかじめ明確にし、設計予算に応じて工事範囲を変更することも必要となります。
設計に入る前に、建物劣化調査を行い、現状の劣化度を把握することも重要な作業の1つです。
管理組合としての負担を考慮し、建物規模や工事内容を踏まえて、見積依頼やヒアリング対象とする会社数の目安を設定することを推奨しています。また、ヒアリングの際は現場監督(予定者)も出席して頂き、質疑応答を行うことで、居住者とのコミュニケーション能力を把握することも重要です。
大規模修繕工事の発注方法として、主に2つの方式があります。
・設計監理方式 修繕設計および工事監理は設計事務所が行い、工事のみ施工会社が行う。
・責任施工方式 修繕設計から工事まで、施工会社が全て行う。
設計監理方式 | 責任施工方式 | |
---|---|---|
建物調査診断 | 設計事務所 | 施工会社 |
修繕設計 | 設計事務所 | 施工会社 |
施工者選定 | 管理組合・ 設計事務所 |
― |
大規模修繕工事 | 施工会社 | 施工会社 |
大規模修繕工事 (工事監理) |
設計事務所 | ― |
1、設計監理方式
・第三者による工事監理を行うため、工事品質を確保しやすい。
・管理組合の意見、要望を反映しやすい。
・施工者選定の際に、複数の候補会社から選定することで、工事費を抑制することが可能。
・工事実施までに相応の期間を要する。
2、責任施工方式
・窓口が一本化しているため、管理組合としては対応が容易。
・施工品質の確保や、工事費の客観性に難点が生じる可能性がある。
・初期の段階(建物調査診断時)に施工者を選定する必要がある。
各々の方式でメリットが異なるため、管理組合としての考え方に沿った方式を採用する必要があります。